格安SIM の IIJmio が新プランを発表しました。
大手キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)やそのサブブランド(UQモバイル・ワイモバイル)への対抗プランで、業界最安クラスの新料金プランになります。
IIJmio は以前に当ブログで予想した「今後も生き残れそうな格安SIM」3社のうちの1社です。
残りの2社はすでに破格の新料金プランを発表した 楽天モバイル と mineo(マイネオ)なので、見事に予想が的中しました。
そんなわけで、この記事では業界最安クラスの IIJmio 新料金プランは本当にお得なのか、何か重大な落とし穴はないのかを検証してみたいと思います。
IIJmio ギガプラン とは?
IIJmio の新プラン「ギガプラン」は、SIM の機能とデータ容量を自由に組み合わせられ、しかも超低料金という驚きの料金プランです。
ギガプランの料金
ギガプランの料金は下の表のとおりです。
大手キャリアや他の格安SIM会社と違うのは、2GB や 4GB という少ないデータ容量が選べること。
例えば、毎月のデータ使用量が 2GB 未満の超ライトユーザーなら音声通話もついて月額 858円(税込)で利用できます。
この料金で、
- データ容量のシェアができる
- 余ったデータ容量の次月繰り越しができる
- データ容量の追加は格安の 220円/1GB でできる
- 追加料金なしで5G通信ができる
- MNP転出料なし
- 2年縛り&違約金なし
- 通話定額オプションが追加できる
- みおふぉんダイヤルで通話料金が半額以下になる
ので、相当お得だと言っていいでしょう。
ギガプランはデータシェア&繰り越しができる
6月以降は複数の回線(SIMカード)でデータ容量を合算して共有できるデータシェアにも対応します。
現行のファミリーシェアプラン(3回線で12GB/月)と同じように家族でデータ量を分け合えられるようになります。
しかも料金は、ファミリーシェアプランが3回線すべてに音声通話を付けた場合で月額 5,126円(税込)なのに対し、ギガプランなら 4GB の音声通話つき(1,078円/月)の3回線契約でも月額 3,234円(税込)です。
4割近くも安くなるんですね。
各SIMの種類やデータ容量が違ってもシェアできることや、余ったデータ量が翌月に繰り越せる点は大きなメリットです。
大手キャリアの新プランはデータシェアもデータ繰り越しもできませんからね。
ギガプランはデータの追加が安い
6月以降はデータの追加ができます。
月々のデータ容量を使い切っても 1GB あたり 220円(税込)で高速データ通信容量が追加できます。
大手キャリアのデータ追加料金は 1GB あたり 550円(税込)であることを考えると、かなり破格の料金設定です。
ギガプランは5G通信が無料
6月以降は 5G(ファイブジー)通信に対応し、従来の 4G 通信との切り替えが自由に、しかも無料でできるようになります。
先に新料金プランを発表した mineo では 5G 通信はオプションで月額 220円(税込)がかかります。
5G が無料で使える IIJmio は他の格安SIMと比較してもかなりお得といえます。
ギガプランは手数料が無料
ギガプランでは、MNP転出(他社への乗り換え)手数料と契約解除料が無料です。
ファミリーシェアプランなど IIJmio の現行プランからのプラン変更も手数料なしでできます。
かかるのは新規契約時の初期費用 3,300円(税込)と SIMカード発行手数料 だけです。
既存の IIJmio ユーザーが SIM の機能変更なしでギガプランに移行する場合は手数料が一切かからないということです。
ギガプランは通話定額もつけられる
公式サイトに記載はありませんが、現行の通話定額オプション(10分以内・3分以内)はギガプランにも付けられます。
料金は10分定額が 913円(税込)、3分定額が660円(税込)です。
家族間通話はさらにお得で、10分定額なら30分以内、3分定額なら10分以内の国内通話が無料になります。
通話定額をつけなくても「みおふぉんダイヤル」というプレフィックス通話サービス(無料)を利用することで、いつでも30秒あたり11円の通話料になり、家族間なら30秒あたり8.8円という低料金で電話がかけられます。
通話定額は「みおふぉんダイヤル」の利用が前提なので、時間を超過した場合の通話料は同じく30秒あたり11円(家族間なら8.8円)です。
大手キャリアの通話料は30秒あたり22円なので、IIJmio なら半額以下で電話がかけられるということです。
ちなみに大手キャリアの新プランでは家族間通話無料が廃止されているので、家族間で電話をよくかけるなら IIJmio が他社に比べて格段に安いです。
その他、高速データ通信と低速データ通信を好きなタイミングで切り替えられる「みおぽんスイッチ」機能も引き続き使えます(切り替え用アプリは新しくなるらしい)。
ギガプランのデメリットは?
ウマい話にはウラがあるというのが世の常で、当然 IIJmio のギガプランにもデメリットが存在します。
現行プランには戻れない
IIJmio の既存のプランからギガプランに変更すると元のプランには戻れません。
変更後に元のプランに戻りたいときは新規契約するしかなく、IIJmio 内での MNP はできないため電話番号も変わってしまいます。
SIMの追加ができない
既存のプランには月額440円でSIMカードを追加しデータ容量をシェアできる「追加SIM」サービスがありますが、ギガプランでは利用できません。
SIMを追加したい場合はギガプランで新規契約し、6月以降にデータシェアに組み込むしか方法がありません。
ただし、ギガプランで新規契約したとしても eSIM(2GB)なら月額440円で同額ですし、物理SIMでも最低月額748円からになります。
しかも最低2GBのデータ容量をデータシェアにプラスできるので、これがデメリットになるのはデータ専用またはSMS付きSIMを追加していて、それでも月々のデータ容量が余るようなケースだけです。
もし既存の追加SIMに音声通話をつけていた場合(440円+770円)は却って料金が安くなるうえにデータ容量が増えるので、むしろメリットになります。
家族の定義に注意
ギガプランに限らず、IIJmio の「家族」の定義は「同一mioIDの回線」です。
つまり契約者は1人ということになります。
家族で別々に IIJmio を契約していた場合はデータシェアもできませんし、みおふぉんダイヤルによる電話料金の割引きも効きません。
また、別々の mioID を1つにまとめることができず、IIJmio内での MNP もできません。
長得の対象外
IIJmio には2年以上の契約者限定の特典「長得」があり、毎年データ容量3GB分のクーポンとセキュリティアプリなどの対象オプションが無料になります。
ギガプランではこれらの特典が利用できません。
ただし同じ料金で比較すればギガプランのほうがデータ容量が多いので、年間3GB分のクーポンがもらえないことは大したデメリットにはならないでしょう。
対象オプションについても1つのmioIDに対して1つのみで、しかも複数の端末で同時に使えないものばかりなので、ギガプランで浮いた料金で同じようなサービスに加入しても十分お釣りがきます。
データ残量が引き継げない
既存のプランからギガプランへ変更した場合、既存のプランでのデータ残量は引き継げません。
例えば、ファミリーシェアプランだと最大12GBが翌月に繰り越せますが、ギガプランへの変更時にリセットされます。
これは変更直後には大きなデメリットですが、ギガプランでもデータ繰り越しができるので変更して2ヶ月目以降には解消されていきます。
ギガプランへの変更を考えているなら、変更前にデータ残量を使い切っておきたいところです。
最大の懸念材料は…
ここまでに挙げたデメリットは限定的なものが多く、ギガプランは総合的に穴のない料金プランだと言えますが懸念材料はあります。
それは、現行プランのほとんどが新規受付を停止していないことです。(2021年2月末日現在)
楽天モバイル や mineo など他の格安SIMでは、新料金プランの発表に合わせて旧料金プランの新規受付を終了しています。
IIJmio では今のところ現行の料金プランでも引き続き新規契約ができるようなので、実はものすごく大きな落とし穴が隠されているのではないかと勘繰ってしまいます。
IIJmio が真の勝者になるには
いくつかのデメリットはありますが、料金の大幅値下げと6月以降に実装されるデータシェアはデメリットを大きく上回るメリットだと感じました。
しかし競争の激しい格安SIM業界で IIJmio が真の勝者になるために、次の2点をぜひとも検討していただきたいと思います。
mioID の統合
複数の契約名義(mioID)を1つの契約名義にまとめられるようになれば、家族内で別々の名義で IIJmio を契約しているユーザーを囲い込めると思います。
ギガプランは複数回線でデータシェアしてこそ真価を発揮できます。
音声通話やファミリーシェアプランの無かった IIJmio 初期からの長期複数回線ユーザーの救済にもなると思うのですが…
低速データ使い放題
mineo のように低速でデータ通信が使い放題になるオプションがあればいいと思います。
IIJmio では高速データ通信と低速データ通信を自由に切り替えることができますが、低速のまま3日間で366MBを使うとさらに速度が制限されてしまいます。
低速のままデータ通信を使い続けられるオプションがあれば非常にうれしいのですが…
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